拝啓〜敬具、前略〜草々の使い方
「拝啓」で書き起こして「敬具」で結ぶ、「前略」で始まり「草々」で終える、この2種類のあいさつ言葉の使い方が、現在もっとも一般的な書簡文の書き方です。「拝啓〜敬具」と同じ意味で「謹啓〜敬白」の組み合わせもあり、こちらもよく使われます。
「拝啓〜敬具」、「謹啓〜敬白」には時候のあいさつが必要
「拝啓〜敬具」や「謹啓〜敬白」は、両方とも、中国や日本で宮廷の相当高貴な身分の人に書簡(漢文で書かれたもの)を差し出すときに使われた言葉遣いです。「拝啓」は「拝し申し上げます」、「謹啓」は「謹んで申し上げます」、「敬具」と「敬白」はともに「敬いて申し上げます」という意味です。両者にはほとんど意味の違いがありませんが、「謹啓〜敬白」の方が、より丁重なかしこまった文面で使われることが多いようです。
「拝啓」や「謹啓」で書き始めたときは、いきなり用件に入らず、まず時候のあいさつを書くのが決まりです。次のように書きます。
謹啓 陽春の候、皆様には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また日頃より愚息が何くれとなくご厄介になり、誠にありがとうございます。(改行)
このように、時候のあいさつ(感謝の言葉を含む)を書いてから、「さて、〜」という形で用件に入ります。もっとも、次のように、時候のあいさつを簡略化することや、感謝の言葉を省略することも可能です。
拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。(改行)
どちらの場合も、最終行の末尾に「敬白」や「敬具」と書き、その後に日付けと氏名を記します。
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「前略〜草々」は時候のあいさつを省略
時候のあいさつや感謝の言葉を書くことが面倒であるため、普段使いの手紙やはがきの書き方として一般化したのが、「前略〜草々」です。「前略」とは、「冒頭のあいさつを省かせて頂きます」という意味です。「草々」は、あわただしいという意味の「怱々」を同じ音の文字に書き換えたもので、ちゃんとした手順を踏まずに「あわただしくて申し訳ありません」という意味合いです。「拝啓」・「謹啓」の文体を簡単にしたものですが、一応は古典的な書簡の書き方に叶っているものとして、日常的な手紙であれば失礼に当たりません。
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